こんにちは、メイです!
新大工市場が、2017年の3月18日に閉店をします。昭和29年に誕生し、69年も地元の人に愛されてきた新大工市場、今回はその市場の中で長く営業を続けてきた店主やスタッフの方5人にお話を聞いてきました。
それぞれのお店の方が新大工市場に様々な思い出があり、中には「今までの気持ちが溢れて・・・もう取材は答えきれない、ごめんね」という人もいました。
長くお店を続けてきたことに深く思い入れがあって、今回みなさんのお話を聞いただけで私もグッと胸が熱くなりました。新大工市場で働いてきた方々が見てきた市場の歴史を、みなさんにご紹介します。
戸田商店
とても優しい笑顔で、穏やかに話してくれる店主の戸田さん。お隣の川虎かまぼこのスタッフさんとも、和気あいあいとしていました。
戸田商店は50年近く続いており、店主の戸田さんがお店に立ってからは、40年だそうです。
「昔は人で溢れていた。向こう側に行くまで、人をかき分けて行ってた。想像つかんやろ?」と以前の市場の様子も教えてくださいました。現在は近くの病院に行ったついでに寄るお客さんが多く、ピークはお昼までとのこと。
戸田さんに、新大工町市場での思い出を聞いてみると、「品物を売るだけじゃなく、お客様との交流がある。40年もお店にいれば、50代だったお客さんは90歳になる。そのお客様の人生も見れるとよ」と答えてくれました。
「うちのお店に来なくても、(近くのお店に来ている人のことを見て)あの人は漬物が好きとばいねとか、髪が真っ黒だった人が白くなってきたりとか・・・人生が見えるとよ・・・」と、感慨深く語ってくれた戸田さんの言葉が印象的でした。
その時、近くを通る男性に「久しぶり!元気しとった?」と声を掛け、配達の情報交換を始めました。市場だからこそ、こういう”ふれあい”があるんだなと、目の前で実感しました。戸田商店は新大工市場の閉店後、ジョイフルサン新大工市場の前に移転します。
小結食堂
小結食堂は、18日で閉店をします。小柄で可愛らしい笑顔の店主・町田さんにお話を聞いてみました。公設市場があった頃から営業しており、なんと54年もお店を続けてきたそうです。
「新大工市場が閉まると決まってから、常連さんはあまり来ない。毎日みえてた方もいましたけど」と話していましたが、お昼近くになると少しずつお客さんがお店に集まって来ていました。
「もう最後だから来たよ」というお客さんもおり、お店も町田さんも愛されているのを感じました。
「交流がなくなってしまうのは、寂しいですよ。私ももう仕事を辞めるし、お客さんと会えなくなるのが一番寂しい。世間話をしたり、政治の話をしたりお喋りしてたんですけどね。それが無くなるから寂しい」と、お客さんとの繋がりを大切にしていたことがとても伝わってきました。
昔の様子と変わったことは、「昔は、幼稚園の帰りにお母さんが子供を連れて来ていましたが、最近の方はほとんどみえないです。その幼稚園に行っていた人たちが成人して、結婚して、赤ちゃんができました~とお店に来たりとかされていましたが、今はあんまり、小さい子を連れて食べにくる人もいなくなりました。昔は多かったんですけどね」とのこと。
昔の大変だった思い出を聞いてみると、「水害があった時ですね。お店への被害はなかったけど、周りに被害がでていて・・・あの頃は大変でしたね」と約35年前の長崎大水害のことを振り返っていました。
長く続いてきたお店だからこそ聞くことができたエピソードですね。
松田商店
現店主の松田さんのお父さんの代から続いているお店で、松田さんが立ってからは40年ほどになります。戸田商店の戸田さんとは歳が近く、「仲がいいんですよ、ライバルであり友達でもあって」と話していました。お店はご夫婦で続けてきたそうです。
松田さんには、お店を継いで良かったと思うことを聞いてみると「多くの方と知り合えたことです」と、即答されました。いつも来てくれていたお客さんと話せなくなるのは、寂しくなるとのこと。
お店をしていて大変だった事は、「品物の仕入れが間に合わなかったり、希望される商品の仕入ができなかったりした事なんかは、お客さんに対して申し訳なかったなぁと思うことはありました」と、振り返ってくれました。
市場での交流は、「市場はみなさん仲が良かったです。一緒に慰安旅行に行ったり、新年会をしたり楽しい思い出がいっぱいあります!」と笑顔いっぱいで答えてくれました。市場全体でいい関係を築かれていたんですね。
昔と今のお店の変化は、「段々と病院に入院されたりして、お年寄りのお得意様が来なくなってきたなと感じるんですよね。寂しくなってきました」とのこと。新大工市場自体、年配のお客さんが多かったんですね。
新大工市場の閉店により取材も何度かあったようで、「テレビも結構来ました。メディアの方が来ると、”あぁもう終わりなんだな”と思ったりしますね」と、新大工市場の閉店を実感したそうです。
「品物が買えなくなって、お客さんもショックだろうと思います」と語る松田さん。松田商店の廃業については、お友達からも「寂しい」という声があったようです。
明るく、笑顔の素敵な松田さん夫妻でした。
くさの惣菜店
くさの惣菜店もとても長い間続いており、お店は70年以上もの歴史があるそうです。くさの惣菜店は新大工市場の閉店後、天満市場へ移転します。今回は店長が不在のため、くさの惣菜店へ嫁いだお嫁さんにお話を聞きました。
お店はお昼になると沢山のお客さんで溢れており、周りのお店の方も並んでいました。とても賑やかでしたよ!お客さんの中には、以前市場の中にあったパン屋の大家さんも来ていて、今も繋がりを大切にしているのが見えました。
「対面でおばあちゃん達といろいろ情報を交換しながらするのも、もうなくなってしまうかな・・・というところが正直なところです」と、市場ならではの雰囲気がなくなってしまうのを惜しんでいました。
お店で働いていて印象に残っていることなど聞いてみると、「(おつかいで)子供が1人で買いにきてくれたことなど、そういうのが嬉しいことでした。今は1人で買い物するお子さがんが全くいないですよ、どこに行っても」とのことで、お店に子供が1人で来るのが珍しい光景になったそうです。
そのため子供1で来てくれた時には、その姿に店長も喜んで、唐揚げを「食べていかんね」と渡したりしたそうです。
「その子たちが大きくなって、またお店に買いに来てくれると嬉しいんですけどね。そういうのがもうなくて、(店に来るのは)お母さんだけ、おばあちゃんだけという感じですね」と、昔と変わってきたお店の様子を思い返してくれました。
川虎かまぼこ
(写真左:川虎かまぼこスタッフさん、右:戸田商店店主)
今回は、スタッフさんに少しだけお話を聞くことができました。「バブル時代は、人が通れないほど人がいたそうですよ。かき分けかき分け歩いてたそうです」と、昔の市場の様子を教えてもらいました。
周りのお店の方に聞いたそうですが、「昔はここで焼いてたそうです。ちくわをクルクルと、炭で焼いてたと聞きました」と、昔のお店の様子も話していただきました。
川虎かまぼこは、新大工市場の閉店後、近くの天満市場へと移転をするそうです。
惜しまれながらも閉店するお店もありますが、移転するお店もいくつかありますので、これからも町の人との交流を深めながら続いていって欲しいですね。