いつも長崎県の素敵なお店や、印象的な行事・情景を発信しているながさーち。
毎年8月9日を前に、平和について考えるきっかけになる場所を紹介しています。
「今年はどんな場所を皆さんに知ってもらおうかな…」
そう思いながら調べていた時に出会ったのが、長崎市江平にある「穴弘法奥之院 霊泉寺」。

実際に訪れると、ご住職が境内を案内しながら、一つひとつ丁寧に説明してくださいました。
原爆から命を守った岩穴。
今も湧き続け、平和祈念式典で献水として捧げられる湧き水。
爆風を受けても落ちなかった巨岩。
ここには、写真や資料を見るだけでは分からない「あの日の記憶」が、今もそのまま残っています。
長崎に暮らしていても、まだまだ知らない場所があるんだと、改めて感じました。
原爆から5歳の少女を守った岩穴

境内を進んでいくと現れるのが、大きな岩に挟まれた「穴弘法」。
人ひとりが通れるほどの岩の間を進んで、中へ入ることができます。
外の明るさから一転、岩穴の中は薄暗くひんやり。

奥には弘法大師像が祀られています。
そしてこの岩穴は、1945年8月9日、一人の少女の命を守った場所でもあります。
1945年8月9日11時2分、長崎に原子爆弾が投下された時、爆心地から約1.2kmに位置する霊泉寺も大きな被害を受け、建物は全壊しました。
あの時少女はここからどんな景色を見たのでしょうかその時、当時5歳だったご住職のお母さまは、咄嗟にこの岩穴へ逃げ込み、命をつないだといいます。
あの日、人々が求めた「湧き水」

岩穴の中では、今も岩から水が湧き出ています。
原爆投下後には、この湧き水を求めて多くの人が押し寄せたと伝えられています。
そして現在、このお水は毎年8月9日に行われる長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で「献水」として捧げられています。
爆風にも耐えた巨岩「平和祈岩」

岩穴の上には、巨大な岩が重なるようにして残っています。
「平和祈岩」と呼ばれるこの巨岩は、原爆の爆風を受けても落ちませんでした。
何も補強していない岩が、原爆をはじめ、その後の台風や災害にもびくともせず残っていて、力強さを感じます。
現在は平和への祈りを伝えるとともに、パワースポットとしても親しまれています。
13人の被爆犠牲者を供養する「平和観音」

当時この場所には原爆で亡くなった13人の方が埋葬されており、その跡地に平和観音が建てられています。
観音様の向こうには、長崎の街並みが広がります。
原爆で亡くなった方々を供養し、平和を願う場所として、今も静かに長崎の街を見守っています。
5歳で被爆した記憶を描いた18枚の水彩画

本堂には、18枚の水彩画が展示されています。
描いたのは、原爆投下時に岩穴へ逃げ込んだ、現在のご住職のお母さま。
5歳の時に体験した原爆の記憶を後世へ伝えるため、自らの体験を絵に残しました。

岩穴へ逃げ込む様子など、当時の出来事が一枚一枚描かれています。

余談ですが、本堂の天井にもぜひ注目してみてください。
天井を埋め尽くすのは、京都の絵師が4年もの歳月をかけて一枚ずつ描き上げた壁画。

一枚として同じ絵はなく、見上げると色とりどりの美しい作品が広がっています。
被爆した鳥居の一部も
中央二つの石柱は、当時の鳥居です境内には「彌髙稲荷大明神(やたかいなりだいみょうじん)」も祀られています。
そのそばには、原爆の被害を受けた鳥居の一部が現在も残されています。
原爆の被害を受けた鳥居といえば、山王神社の「片足鳥居」が有名ですが、こちらでも原爆の被害の痕跡を見ることができます。
9月30日まで「風鈴まつり」開催中

現在、霊泉寺では「風鈴まつり」が開催されています。
境内を彩るのは、限定140個の風鈴。
色とりどりの短冊には、訪れた人たちの願いごとが書かれています。
「ながさーち」の風鈴も見つけてね風が吹くと、たくさんの風鈴から涼しげな音色が響きます。
タイミングが合えば、シャボン玉と風鈴が重なる光景を見ることができますよ。
風鈴祈願料:600円(140個限定)
風鈴まつりは9月30日まで開催されています。
平和への願いが詰まった切り絵御朱印

参拝の記念にいただいたのが、こちらの切り絵御朱印。
よく見ると、霊泉寺と平和にまつわるモチーフがたくさん盛り込まれています。
中央に描かれた虹には世界平和への願いが、折り鶴には戦争で亡くなった方々への追悼の思いが込められています。
下部の水紋は、岩穴から現在も湧き続ける岩清水を表現しています。

青空にかざしてみると、切り絵から光が透けてとってもきれいでした。
御朱印料:1,500円(数量限定)
霊泉寺へのアクセス

霊泉寺は浦上天主堂から坂を上がったところにあります。
【車の場合】
公式サイトの下部に、写真付きの分かりやすい案内が出ているので参考にしてください。
道中の坂道がとても急で、車種によっては登りきれない場合があるようです(実際、私が向かう途中も軽トラが立ち往生していました)
私の乗っていた車(ハスラー)は登ることができました。
ご住職曰く、その坂を避けるルートもあるようです。詳しくはお寺へお問い合わせください。
【公共交通機関の場合】
浦上天主堂まで行き、そこからラッキータクシーを利用する方が多いです。
霊泉寺さん曰く、ラッキータクシーのみ対応しているとのことです。
浦上天主堂から霊泉寺さんへは、車で約5分の距離です。
※道を進むと、「穴弘法奥之院 霊泉寺」と「穴弘法寺」の二手に分かれます。「穴弘法寺」は別のお寺さんなので、「穴弘法奥之院 霊泉寺」の方へ進んでください。
穴弘法奥之院 霊泉寺には、1945年8月9日の記憶を今に伝えるものが数多く残されています。
平和について考えるきっかけのひとつとして、訪れてみてはいかがでしょうか。
↓Instagramの動画には、この場所にまつわる思い出や、平和への願いが数多く寄せられています。
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