※現在コロナの影響で、蔵見学には制限があるかもしれません。蔵見学前に必ずご連絡いただきますようお願いします。
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壱岐に行くまでは、焼酎と言えば漠然と「芋」ってイメージでした。。。芋臭いのを飲むのが九州男児やろ!ってな感じで。
ですが、壱岐はなんと麦焼酎発祥の地なんだと!長崎に住んでいてそんなことも知らなかったとは!!恥ずかしい思いをしながら調べてみると・・・
壱岐焼酎、すごい。
壱岐焼酎は、フランスのボルドーワイン(ボルドー産)とかスコッチウイスキー(スコットランド)などと同様、その土地で作られたブランドとしてWTOや国税庁から地理的表示が認められています。日本国内で言うと琉球の泡盛、薩摩の焼酎など6地の6種しか認められていない希少ブランドなわけです。
引用:壱岐焼酎委員会
要は、「壱岐で作られてないのに壱岐焼酎って言っとけば人気出て売れるから名前使っちゃお~」っていう悪いことを禁止する、ブランド保護の対象になってるわけです。
麦焼酎といえば、有名なのはいいちこや二階堂などの大分麦焼酎でしょう。ですが、これらが大麦を発酵させるのに「麦麹」を使っているのに対し、壱岐焼酎は「米麹」を使うと定義されており、甘みとコクが強いのが特徴的です。壱岐は麦焼酎の発祥の地として、現在では7つの酒蔵が400年以上もの伝統を受け継いでいます。
400年ですよ、400年。酒税法ができて各社がきちんと会社として動き出したのが120年ほど前の明治時代。伝統をしっかり引き継いでいるそれぞれの蔵元。使い古された表現を敢えて使うのであれば、マジリスペクトと言ったところでしょうか。
その7つの蔵のうち、壱岐っ娘や壱岐の島で有名な壱岐の蔵酒造で蔵見学をさせていただきました!伝統の技法を引き継ぎながらも、新しい技術やアイデアを取り入れつつ進化している壱岐の蔵酒造。新しい技術って!?というのはお楽しみに♪
今回、蔵見学で説明してくれたのは原田社長。話が上手すぎて、かなり引き込まれます。毎回、社長に説明してもらえるわけではないですが、社長の回に当たればラッキーですね^^
伝統技術と最新の研究開発力の融合が強み
まずは蔵見学の前に、麦焼酎の基礎知識や壱岐の蔵酒造の製品について教えてもらいます^^
ラインナップを簡単に紹介すると
- 定番の人気ブランド:壱岐の島&壱岐っ娘
- 日本初の花酵母仕込み麦焼酎:なでしこ・玉姫
- 柚子リキュールブームの先駆け:柚子小町
などなど。
感想を一言でいうと・・・
壱岐の蔵酒造、すごい!
いやぁ、壱岐に行った際はぜひ壱岐の蔵酒造に見学に行ってください。絶対ファンになりますよ。以下、僕が萌えたポイントをレポートしていきますね!
一番人気の壱岐の島とラベルインパクトが強い壱岐っ娘
壱岐っ娘のラベルのインパクトが強いので、このイラストを見たことがある方も多いのかと思います。イラストはカーペンターズのジャケットデザインなど手がけ国際的にも活躍した長岡秀星さん。長崎人でこのイラストを知らない人はいないってくらい有名ですよね。
ですが、現在の主力商品で一番人気は「壱岐の島」なんだそうです。壱岐っ娘の会社だと思ってたので、「あー、壱岐の島も壱岐の蔵酒造さんの銘柄だったんだー」と思いましたが、社長の前では言えるはずもありませんw
壱岐の島と壱岐っ娘の違いとしては、壱岐っ娘がフルーティでスッキリ飲みやすいのに比べて、壱岐の島は味わい・コクがあり、食事に合う焼酎として人気が高いんだとか!壱岐の島をグビグビ飲むようになって、それは思いました。個人的なおすすめは、ロックも美味しいですが、壱岐の島のソーダ割り。普通の焼酎をソーダで割っても無味な場合が多いですが、壱岐の島は味わいがあるのでソーダで割っても甘みがあって美味しいんです!一度試してみてくださいな^^
日本初、花酵母仕込みの麦焼酎
原田社長は、お酒の醸造技術を学べる日本で唯一の大学・東京農業大学で学ばれていたそうです。その研究室時代の教授と共に開発した、日本初の花酵母仕込み麦焼酎。香を飛ばさないよう低温でゆっくりと仕上げるなど独自技術で作られた逸品。撫子(なでしこ)由来の花酵母を利用した「なでしこ」と日日草(にちにちそう)分離の花酵母を利用した「玉姫」の2種類。より味わいがある玉姫の方を買って帰って飲みましたが、確かに香ばしい花の香♪おすすめです。
柚子リキュールブームの火付け役
壱岐っ娘をもとに、柚子果汁を用いたリキュール。壱岐でも柚子は多く生産されており、柚餅子(ゆべし:柚子の味噌)や柚子胡椒など果肉の加工品はよく使われていたものの、果汁の使い道が少なかったそうです。そこで開発されたのが柚子リキュール。当時は壱岐産の柚子だけで賄えていましたが、今では人気が出て壱岐産のものだけでは足りなくなり、四国産なども利用しているんだと。
この柚子リキュールに某商社が注目し共同開発したものが柚子小町。使う柚子の量を増やし、より柚子感を出して全国的にPRすると爆発的に人気が出ちゃったんだと!!今でこそ柚子酒や柚子カクテルなど一般的になりましたが、全国的な柚子リキュールのブームを作ったのが、実は壱岐の蔵酒造だったとは!
柚子リキュールと並んで女性に人気なのがしそリキュール。右側の赤いやつ。着色料など一切使用しておらず、色は天然の赤しそで出して、それだと香りが弱いので青しそで風味を出しているそうです。僕はしそリキュールはあまり飲みませんが、色がめちゃきれいだったので紹介しときましたw
樽で寝かせた長期貯蔵の焼酎
ここ数年アイラ系ウイスキーの味を覚えてはまっている僕ですが、工場見学の一番最後に見た酒樽倉庫はかなり萌えました。
スペインから取り寄せたシェリー酒の古樽で約2,3年ほど寝かし、更に別のタンクでしっかり熟成させた麦焼酎。寝かしすぎて色が濃くなりすぎるとウイスキーと同じ扱いになってしまい、今の焼酎を販売する免許では提供できなくなってしまうそうです。そこで、限界ぎりぎりの琥珀色で作られたのが、二千年の夢。ウイスキーのような上品で深い味わい。ウイスキー愛好者の方がコスパ良いね~とのことで購入されるケースも多いのだとか。
たっくさんの酒樽が並べられている
銘柄紹介だけでもー興奮です。面白い。ここに載せていない銘柄もありますが、全てのお酒にそれぞれの特徴と濃いストーリーがあって、一つ一つに愛を注いで作られているんだなぁというのが実感できました。生産者の顔や想いが伝わると、その商品の楽しみ方がまた変わってきますよね。全種類飲んでみたくなりました^^
壱岐の蔵酒造の会社&蔵の紹介
6社が一つになった新しい会社
壱岐の蔵酒造は他の酒蔵と比べちょっと違う起源をもっています。明治32年創業の原田酒造など伝統ある酒蔵6社が1984年(昭和59年)に「壱岐焼酎協業組合」として統合、その後社名変更し壱岐の蔵酒造株式会社が誕生しました。組織としては壱岐焼酎7蔵の中で一番新しい会社という位置づけになります。
新しい会社だからこそ新しいことに取り組める。前述したような最新技術を用いた商品開発が可能になるんだろうなぁと感じました。伝統がある老舗企業でありベンチャースピリッツも併せ持った会社、といった印象が強かったです。
途中には理科室みたいな機械が沢山ある部屋もありました(笑)
蔵が広くて設備が大きい!!
古い造りの酒蔵だと平面に広がっている場合が多く、それだと工程ごとにお酒を平行移動させる必要があり負担が大きいそうです。一方で、壱岐の蔵の工場は3階建ての構造。工程ごとに上からお酒を垂直移動させることでよりスムーズにお酒を造ることができるんですって!!会社が新しくなり、新設された工場だからこそできる仕組み。今の時期は酒蔵を休ませているシーズンだったので特別に見学させていただきました^^
上の方から大きなパイプが垂れている
巨大すぎる蒸留機
壱岐焼酎は大麦と米麹を2:1の割合で作ることと、壱岐の地下水を利用することが条件となっています。その地下水を汲み上げるための新しい井戸を掘っている最中でした。何万年・何千年前の土壌が掘り起こされています。
新しく井戸を掘ってました!珍しい瞬間
真っ黒で固い地層が掘削されてました
窓から見える平野。この日は曇っててあまり見えませんでしたが・・。山が多い長崎県において2番目の広さを持つ平野だそうです。この平野で大麦を作っているんだとか!
貯蔵タンクの奥に平野が見えます
貯蔵タンクは近くで見るとかなりでかい!
一通り、工程を説明してもらった後には、試飲コーナーと物販コーナーがあります。車の運転があったので飲み比べをすることができなくて残念!
全銘柄の試飲が可能です
分かりやすい紹介や昔の資料もある!
酒造見学を終えて
いやー面白かった!!広い敷地をぐるりと見学させてもらい、壱岐焼酎・麦焼酎に関すること、壱岐のこと、そして壱岐の蔵酒造の想いや商品の魅力をがっつり教えてもらいました。
普段は居酒屋やお店で何気なく見てた壱岐の蔵酒造のお酒。どういう人たちが、どういう材料でどういう風に作っているのかが垣間見えて、すっかり壱岐の蔵ファン、そして壱岐焼酎ファンになってしまいました^^
壱岐焼酎、すごい!
壱岐の蔵酒造では随時、蔵見学ができます。>壱岐の蔵酒造公式サイト