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ポルト・ボウ建築巡り- スペイン

「無名の人々を敬うことは、著名な人々のそれよりも難しい。歴史の構築は無名の人々の記憶に捧げられる。」

フランスとの国境に程近く、爽快な地中海を仰ぐ街、ポルト・ボウ。
ここに、戦争の犠牲となった哲学者の記憶の巡礼モニュメントがある。

Passages,
Homage to Walter Benjamin 1994
Dani Karavan

ドイツの哲学者ヴァルター・ベンディクス・シェーンフリース・ベンヤミン(Walter Bendix Schoenflies Benjamin)は、ゲシュタポに追われスペインへの亡命を計るも行く手を阻まれここポルト・ボウで服毒自殺した。
1940年9月26日。
渦巻く海へ向けて下降するパッサージュの先にはベンヤミンのメッセージを伝えるガラス壁がはめ込まれている。

「無名の人々を敬うことは、著名な人々のそれよりも難しい。歴史の構築は無名の人々の記憶に捧げられる。」

断崖といってもそれほど急な断崖ではなかった。
パースの効いた写真を事前に見ていたせいで、意外と短いな、という第一印象。

だが私はここを一日中離れられなくなる。

一端地中に潜ったトンネルは、やがて屋根のない壁面だけの開放的な空間となる。
海へと惹き込まれるように、まるで宙を歩いているかのように下っていく。
私は階段に座り込み、自然の音に耳を澄ませた。
こうしていると、街の喧騒から隔絶され、自然へ解き放たれた気分になる。

幸運なことに、この間の訪問者はミュンスターから来たという老夫婦1組のみ。

私はこの素敵な建築をひとり占めし、贅沢な時間を過ごすことができたのだ。
背後の丘には、「瞑想の椅子」「海を見晴らす祭壇」もあり、こちらは犬が散歩していた。
ゆっくりと時間の流れを感じ、何者にも干渉されずにぼんやりと思いを馳せることのできる空間が、身の回りにどれだけあるだろう。
こうした時間、空間の必要性を痛感した。

街ノート
PORTBOU:ベンヤミン服毒自殺の地
滞在期間:2009年10月09日
訪れた主な建築:Passages,Homage to Walter Benjamin
アクセス:バルセロナ・サンツ駅からRenfeにて地中海側を北上し、約2時間半

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